高精度な時間同期が求められる理由

通信システムにおける5Gのように、時間同期の遅延を極力なくすための動きが、金融機関や医療機関、放送、防衛などの各業界において活発化し義務付けられています。

時間同期に高精度が求められるこのことについて、その理由を、3つの例をあげながら解説しています。

時代の移行による時間同期の必要性

通信システムにおいて、時代は4Gから5Gに移行しつつあります。5Gの特徴は、超高速、超低遅延、多数同時接続の3つですが、現在は超高速しか提供できていません。

この中で注目されている超低遅延のポイントは、高精度の時間同期です。5G網を構築するうえで、コアとなるシステムでは、0.00000004秒の遅延までしか許されていません。

5Gではこの程度の同期精度が必要で、これを保持できなければたびたび通信障害が発生し、普段の生活はもとより非常時にも大きな影響をおよぼしてしまいます。

ちょっとした時差が致命的な損失になる

株や仮想通貨などの売買では、取引成立の証明として、正確な時刻履歴が必要になります。

EU金融取引規制法の改定（MiFID Ⅱ）の施行により、取引システムに裏打ちされた管理体制は必須対応要件になっています。

その中でも取引システムや基盤システムの時刻に対する要件は、時刻精度100マイクロ秒以内と規定されており、これを満たしたシステムでの運用が求められています。

HFT（High Frequency Trading）においても、特に時間同期については重要で、ティッカー情報・約定・ログ管理まで全てのタイミングが高精度に同期されている必要があります。

サービスの質として求められる高精度

データセンターは、顧客から預かっているシステムや、顧客に提供するアプリケーションサービスのためのサーバーやネットワーク機器で埋め尽くされています。

各種システムには定められた時刻での運用があり、適宜システム監視が行われているため、センター内での設備時刻は常に同じ時間になっている必要があります。

時刻がズレてしまったり、監視時刻の報告が誤っていた場合など、顧客の信頼や機会損失に繋がってしまいます。

まとめ

通信システムにおいて、４Gから5Gに移行しつつある中で、超低速遅延が注目されています。超低速遅延を実現させるためには、時間同期が高精度であることが求められています。

5Gにおいては、0.00000004秒の遅延までしか許されていないように、株や仮想通貨などの取引の場合についても、取引システム・基盤システムの時刻に対する要件は、時刻精度100マイクロ秒以内と規定されています。

これらの事例のように、データセンターや医療機関、放送、防衛などさまざまな分野において、高精度な時間同期が義務化されており、それを避けることはできません。