タイムサーバーに用いられる時刻ソースの種類

タイムサーバーに用いられる時刻ソースには、さまざまな種類があります。適切な時刻ソースを選択するためにも知っておきたい、それぞれの特徴や利用可能地域、導入コストなどについてまとめました。

時刻ソースの種類

GNSS

GNSSは、 Global Navigation Satellite Systemの略称で、GNSS衛星（GPS・QZSS・GLONASS）からの電波を利用して、標準時刻を取得する方法です。

時刻ソースの種類のなかでも高精度な時刻を取得でき、カーナビや携帯電話に搭載されています。利用可能な地域は全世界が対象。高精度な時刻同期が可能ですが、衛星からの電波を受信するアンテナの設置費用が発生します。

また、電波を受信しにくい屋内や地下などでの使用には向いていません。初期費用はかかっても高精度な時刻で同期させたい、ランニングコストを抑えたいという方におすすめです。

光テレホンJJY

光テレホンJJYは、情報通信研究機構（NICT）が運営している光電話回線経由で標準時刻を取得する方法です。これまで電話回線を使った標準時刻の取得というとテレホンJJYサービスが一般的でしたが、2024年3月末にサービス終了が予定されており、それに代わるサービスとして光テレホンJJYの提供が開始されました。

光テレホンJJYは、電話回線を敷設できれば、GPSの電波が届かない場所でも標準時刻を取得できるのが強み。ただし、日本国内でのみの利用になるほか、光電話回線を利用するためのランニングコストが必要になります。

長波JJY

長波JJYは情報通信研究機構（NICT）が運営している標準電波サービスで、標準電波（電波時計の電波）を受信して時刻修正を行う方法です。時刻を取得するには屋外に長波受信機の設置が必要で、アンテナ工事のための費用が発生します。また、定期点検時は停波されるため、別の時刻ソースも確保しておく必要がある点に注意が必要です。

日本国内でのみの利用となるため、日本標準時間を取得したい方向き。ただし、GNSSや光テレホンJJYに比べて時刻修正の精度は高くありません。

FM（NHK時報）

日本放送協会（NHK）が提供している、FMラジオの時報を検出して時刻を修正する方法です。

屋内または屋外にFMアンテナの設置が必要で、屋外に設置する場合は配線・工事費用が発生します。屋内でも受信でき、ラジオの時報が聞こえれば時刻修正が可能です。比較的安価に設置できるため、手軽に時刻同期させたい方におすすめ。ただし、GNSSや光テレホンJJYに比べると時刻修正の精度が劣ります。

タイムサーバー内部時計

災害などで使用している時刻ソースと同期できず、バックアップや外部との通信もできなくなった場合、タイムサーバー内部の時計を使うことになります。

日本は台風や地震など自然災害の多い国だからこそ、タイムサーバを選定する際は、万が一に備えて搭載している原子時計素子などの精度もしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

時刻ソースを選定するにあたって、精度はもちろん重要な要素です。ただ、精度だけに注目してしまうと、利用環境によっては電波が届かない可能性があります。そのため、利用する場所に合わせて選ぶことも大切です。また、導入コストやランニングコストにも注目し、自社の利用環境や予算に合った時刻ソースを検討しましょう。