GPS・GNSSアンテナの設置場所について

GPSでUTC（協定世界時）を受信するグランドマスタークロックにとって、GPS・GNSSアンテナを正しく設置することは非常に重要です。

このページでは、GPS・GNSSアンテナを設置する際に気を付けたいポイントや、GPS・GNSSアンテナを選ぶ際の注意点などについて解説しています。

PTPのグランドマスタークロックの重要性

マイクロ秒単位という高精度で時刻を同期することが出来るPTPですが、PTPはGPS・GNSSでUTC（協定世界時）を受信する「グランドマスタークロック（マスター機器）」と「スレーブ機器」から構成され、スレープ機器がグランドマスタークロックに一斉に同期を行うことでシステム全体の時刻を統一しています。

したがって、PTPの精度はグランドマスタークロックのUTC受信精度に依存することになります。グランドマスタークロックが正しくUTCを受信できなければ、グランドマスタークロックと同期するスレープ機器にも影響が出てしまいます。

スレーブ機器に一定のリスクがある以上、高精度な時刻の情報を得るにはPTPグランドマスタークロックの導入が必要といえます。GPS・GNSSアンテナは、グランドマスタークロックの導入に不可欠の設備なのです。

GPS・GNSSアンテナの設置場所

グランドマスタークロックのGPS・GNSSアンテナの設置場所として望ましいのは、基本的に

• 見晴らしがよく、周りに電波を遮断・反射するものがない屋外

となります。反対に、設置に適していない場所の具体例としては、

• 網入りガラスやスモークフィルムを張ったガラス、金属製の網戸やブランドの近く
• 電波塔や高圧線、避雷針の近く

や、その他にも、

• 降雪によってアンテナが埋まってしまう可能性がある場所
• 冠水によってアンテナが水没してしまう可能性がある場所

があります。

GPS・GNSSアンテナ設置の際の注意点

適切な設置スペースの確保

出来るだけ周りに電波を遮断・反射するものがない屋外に設置するのが望ましいグランドマスタークロックのGPS・GNSSアンテナですが、都心部だと、そうした場所はなかなか確保できるものではありません。手っ取り早いのはビルの屋上ですが、最近では、防犯・安全上の理由から屋上に入れないビルも増えてきています。

グランドマスタークロックのGPS・GNSSアンテナを設置する際には、適切な設置スペースを確保できるかどうか、事前に確かめておきましょう。

コネクタの防水処理

防水仕様のGPS・GNSSアンテナであっても、コネクタ部分が防水仕様とは限りません。GPS・GNSSアンテナを屋外に設置する場合、自己融着テープなどでコネクタ部分を覆うといった対策を忘れないようにしてください。

GPS・GNSSアンテナの選び方

正しい周波数を受信できるアンテナを選ぶ

衛星や信号の種類ごとに周波数は異なります。例えば、GPS衛星のL1信号は1.57542GHz、GLONASS衛星のL1信号は1.602GHzとなっています。

システムの仕様を確認した上で正しい電波を受信できるアンテナを選ぶようにしましょう。

設置場所にあった製品・オプションを選ぶ

GPS・GNSSアンテナを選ぶ際には、例えば降雪量が多い地域であれば雪が積もりにくい形状のアンテナを選び、雷が多い地域であれば専用の避雷器を取り付け、都市部であればアンプを併設するなど、設置場所に応じて適切な製品およびオプションを選ぶことが非常に重要です。