タイムサーバーのうるう秒対策とは？

数年に一度、不定期に実施される「うるう秒」。ある決められた時刻に余分な一秒を加えるのがこの「うるう秒」ですが、うるう秒への対応を怠ると、予想外の大きな被害が出ることもあります。

うるう秒とは？

うるう秒とは、日本時間の場合には8時59分59秒のあとに8時59分60秒を追加することで、一日を一秒だけ伸ばすことです。うるう秒が挿入される日付は「国際地球回転・基準系事業(IERS)」が決定しており、1月1日と7月1日が第一候補、3月末日と9月末日が第二候補とされています。

では、なぜうるう秒を挿入する必要あるのでしょうか。私たちが日常的に使用している時間の単位である「時間・分・秒」は、地球の自転の一回転分を均等に等分したものです。具体的には、一秒の長さはセシウム時計の一秒である「セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移により放射される電磁波の周期の9192631770倍に等しい時間」と定められており、地球の自転の一回転分が86400秒となっています。

しかし、地球の自転の速度は、実は、日によって微妙に異なります。そのため、実際の地球の自転の状態と、セシウム時計が表す時刻の間に違いが生まれることがあり、この違いを是正するためにうるう秒は挿入されるのです。また、うるう年と違ってうるう秒の挿入が不定期であるのも、こうした事情に由来しています。

うるう秒の影響範囲

過去には、うるう秒への対策の怠ったために、大きな被害が生じた例があります。例えば、2012年7月1日にうるう秒が挿入された際には、Linuxがカーネルレベルでの障害がおこり、JavaやMySQL、Apache Hadoopといったプログラムで重大なエラーが多発しました。この障害は、一部のSNSサービスが長時間使用できなくなる、といった社会的影響をもたらしたため、記憶に新しいという人も多いかもしれません。また、同様に、2015年7月1日年にうるう秒が挿入された際に、大きな被害がでることを警戒して、東京証券取引所が事前に対策を講じたことを覚えている、という人も多いかもしれません。

タイムサーバーによる「うるう秒対策」

では、うるう秒対策としては、どのようなものがあるのでしょうか。セイコーのタイムサーバーを例に挙げると、セイコーのタイムサーバーには「即時調整(工場初期設定値）」と「アジャスト調整」の二つのうるう秒対策が用意されています。

即時調整(工場初期設定値）とは、うるう秒が挿入される24時間より前に、NTPの「うるう秒」指示子LIビットに1秒挿入をセットする方法です。うるう秒の挿入の直前に、一秒のディレイを起こすことでうるう秒に対応します。

アジャスト調整とは、うるう秒の挿入の一定時間前から、一秒としてカウントされる時間を少しずつ長くすることで、うるう秒に対応します。例えば、うるう秒の挿入の120分前から1秒あたり1/7200秒を分散して挿入させることで、うるう秒挿入と同時にシステムの時刻と協定世界時と一致させることが可能です。